●未成年の法律行為
権利能力は出生により認められているので、未成年も相続人になれます。
ただし、未成年が法律行為をするには、法定代理人の同意を必ず得なければなりません。
通常は、親権者が法定代理人になります。
●利益相反の禁止と特別代理人
例えば、夫が亡くなり、妻と未成年の子が共同で相続する場合は、母と子の間でどうやって遺産分割協議を行えばよいでしょうか?
子の法定代理人は親権者であるという原則に従えば、母親が子の法定代理人として自分自身と協議をすることになってしまいます。
これでは利益相反(一方が有利になり、もう一方は不利益になる可能性がある行為)が生じ、子の相続人としての利益が損なわれてしまうおそれがあります。
したがって、親権を行う父または母と、その子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、 その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に申し立てなければなりません。 (民法826条1項)
これにより、遺産分割協議は、親権を行う親と、子の特別代理人との間で行われることになります。
① 特別代理人の申し立て方法
親権者または利害関係人が特別代理人選任の申し立てを行います。
子が2人の場合は1人ずつそれぞれ申し立てをすることになります。
選定するにあたっては特に資格は必要ではなく、未成年者(被後見人)との関係や利害関係の有無などを考慮して、適格性が判断されます。
② 特別代理人の職務
特別代理人は、家庭裁判所の審判で決められた行為(書面に記載された行為)について、代理権などを行使することになります。
(家庭裁判所の審判に記載がない行為については、代理などをすることができません。)
家庭裁判所で決められた行為が終了したときは、特別代理人の任務は終了します。
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