●養子縁組による相続税額への影響
養子縁組を行った場合、基礎控除額の増加、累進課税の緩和、生命亡退職金の非課税金額の増加という影響があり、これらに伴う節税効果があります。
① 基礎控除額の増加
法定相続人が増えることに伴い、基礎控除額が養子1人につき600万円増えることになります。
ただし、租税回避行為防止のため、基礎控除額増加の対象となる相続人に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までに限定されます。
② 累進課税の緩和
法定相続人が増えることにより、各法定相続人の法定相続分が減少し、適用税率の区分が下がる場合があります。
例えば、課税遺産総額が9,000万円で、これを実子1人で相続する場合の適用税率は30%ですが、
これを実子1人と養子1人の合計2人で相続する場合の適用税率は(各相続人の取得金額4,500万円ずつになると) 20%となり、適用税率区分が下がって相続税額が減少することになります。
③ 非課税金額の増加
生命保険金や死亡退職金の非課税金額は、500万円✕法定相続人の数で計算するので、養子が1人増えると非課税金額も500万円増えることになります。
ただし、基礎控除枠の場合と同様、租税回避行為防止のため、これについても非課税金額増加の対象となる養子の数は、被相続人に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までに限定されます 。
④ 遺留分の減少
なお、相続税負担の話ではありませんが、その他の養子制度の活用場面として、養子が増えることで各相続人の遺留分が減少することになります。
そのため、特定の相続人になるべく多くの相続財産を与えたい時に、あえて養子を増やしておくという方法がとられることがあります。
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