●限定承認の実情
相続人は事故のために相続の開始があったことを知った日から3か月以内に、相続をするか、相続放棄をするか、限定承認をするかを決めなければいけません。
限定承認とは、プラスの財産もマイナス財産も全て相続しますが、相続財産から被相続人の借金などのマイナス財産を清算して、それでも相続財産が残っていれば、その余剰分を相続するという方法です。
つまり、マイナス財産についてはプラス財産の額を上限として弁済を行うので、マイナス財産の過多によって相続人本人の財産が損なわれることがない仕組みになっていますが、実際にはあまり利用されていません。
●限定承認のデメリット
相続の開始があったことを知った日から3か月以内に、財産目録を作成し、相続人全員で家庭裁判所に限定承認をする旨の申し出をし、その5日以内に被相続人の貸主に対して、借金の金額を申し出るように催告しなければいけません。相続の税金といえば相続税ですが、限定承認の場合には譲渡所得税も発生する場合があります。また申請が受理された後にも手続きが続き、非常に手間と時間がかかってしまいます。
●熟慮期間伸長の申し立て
上記のとおり、限定承認は実情ではあまり選択されませんが、相続の開始があったことを知った日から『3か月以内』の手続きの期間変更をする方法があります。
承認か相続放棄をするかを決められない場合、家庭裁判所に相続の承認または相続放棄の期間伸長の申し立てをし、審判を受けた結果、期間伸長が認められることがあります。
実務上、熟慮期間伸長の申し立ては比較的認められやすいため、相続放棄をするかどうかを慎重に判断することが可能になります。
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