自筆証書遺言のリスク(自宅保管の場合)

令和2年7月1日より自筆証書遺言を法務局に預ける制度がスタートしました。


しかし、この制度を活用するかどうかは個人の自由ですので、今回はあえて自筆証書遺言を従来通り自宅保管するパターンを解説します。

自筆証書遺言をご自身で作成した後、自宅保管した場合は手数料がかかりませんし、お得に感じますが下記リスク①~④があります。

文章の書き方でお分かりになるとは思いますが、、、、、

あえて言います。

当方は手数料はかかりますが、公正証書遺言推進派です。


① 無効になるリスクが高い

(自筆証書遺言の法務局保管の場合、法務局は保管&日付の有無などの形式の確認のみで有効性の保証なし)


自筆証書遺言は文字通り、自筆で全部書かなければなりません。(財産目録は自筆でなくてOK)

遺言者ご自身で書くため遺言書としての要件を満たしていないものが多く、財産の記録が曖昧で特定できないor表現が抽象的になりがちです。


公正証書遺言の場合は公証人が中立公正な立場で審査をします。


② 検認(家庭裁判所での開封式)が必要で時間がかかる

(自筆証書遺言の法務局保管の場合は検認不要)


相続が発生したとき勝手に開封してはならず、戸籍謄本等の必要書類を集めて家庭裁判所に申し立てた後、相続人が参加して検認が行われるので、相続開始から1〜2ヶ月かかります。この間、故人の銀行口座からの引き出しはストップします。


公正証書遺言の場合は検認不要です。


③ 紛失時に再生できない

(自筆証書遺言の法務局保管の場合は紛失の危険性なし。内容変更による保管の撤回も可能)


自筆証書遺言は原本そのものなので紛失時は再生不可能です。


公正証書遺言の場合は万が一の紛失時での再発行は可能。平成元年以降作成分の公正証書遺言は最寄りの公証役場から故人が遺言書を残していたかどうかの検索が可能です。


④ 争いのもとになる危険性

(自筆証書遺言の法務局保管の場合、作成後の相続人による改ざんの危険性はないが、作成時の保証なし)


基本的に自筆証書遺言は一人で作成し、作成時の承認も不要です。なので、法定相続人の1人に無理矢理書かされたのではないかと他の相続人と紛争が起こる可能性が大いにあります。


一方、公正証書遺言であれば公証人の面前で本人の意思確認のうえで作成され、証人2人の立ち合いが必要なので紛争に繋がるリスクが非常に低くなります。

そして完成後、原本は公証役場での保管になるので安心です。

勝本行政書士法務事務所 大阪・北浜/堺筋本町

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